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おとり効果(デコイ効果)とは?

おとり効果(デコイ効果)

おとり効果(デコイ効果)の概要

おとり効果(デコイ効果) とは、わざと魅力の薄い選択肢(おとり)を見せることで、本当に売りたい本命商品を相対的に際立たせ、顧客に選ばれやすくする心理テクニックです。

ビジネスでの重要ポイント
  • 売上・利益率アップ: 意図した商品へ顧客を誘導し、販売数や単価を向上させます。
  • 賢い価格戦略: 安売りではなく「見せ方」で価値を訴求し、価格競争を回避します。
  • 顧客の意思決定支援: 複雑な選択を単純化し、満足度の高い購買体験につなげることも可能です。

例えば、映画館のポップコーンでMサイズが割高な「おとり」として機能し、Lサイズがお得に見えるのはこの効果の一例です。

なぜそうなるの?~「おとり効果」の心理メカニズム解説~

おとり効果が機能するのは、私たちが絶対的な価値基準ではなく、提示された選択肢を相対的に比較して判断するためです。「おとり」となる選択肢は、本命の選択肢と比較された際に、本命を選ぶことの正当性を際立たせるように設計されます。

具体的には、売りたい本命商品と、最安商品がある場合、本命に似ているが一部の重要な点で明確に劣る「おとり商品」を導入します。すると、顧客はおとり商品と本命商品を比較し、「本命商品の方が明らかに良い」と判断しやすくなるのです。この、おとり商品の存在がなければ、本命商品と最安商品のどちらが良いか迷うかもしれません。

このように、おとりは本命商品を選ぶための「分かりやすい理由」を提供し、顧客の意思決定を後押しするのです。

【シーン別】ビジネスでの活用事例集

マーケティング・価格戦略シーン

SaaS料金プラン:
ベーシックプラン(低価格・機能限定)
スタンダードプラン(中価格・主要機能網羅 – おとり)
プレミアムプラン(高価格・全機能+手厚いサポート – 本命)

スタンダードをおとりにすることで、「あと少しの追加料金でプレミアムプランの全機能が手に入るなら、そちらの方がお得だ」と顧客は感じやすくなり、結果としてARPU(顧客一人あたり平均売上)向上に繋がります。

飲食店のメニュー:
特定の商品(例:Lサイズポップコーン、タピオカ2倍ジュース)を際立たせるために、割高感のある中間サイズや量の少ない商品を「おとり」として配置します。

営業・提案シーン

複数オプション提案:
顧客に複数のサービスや製品パッケージを提案する際、最も推奨したい「本命プラン」の他に、意図的に内容や価格面で見劣りする「おとりプラン」を提示します。

これにより、顧客は本命プランの価値をより明確に認識し、選択しやすくなります。
例えば、コンサルティング契約で、高額だがフルサポートのAプラン(本命)、中価格だが必要なサポートが一部欠けるBプラン(おとり)、低価格だがサポート範囲が限定的なCプランを提示すると、Bプランの存在がAプランの魅力を高めることがあります。

成功のコツと注意すべき点

成功のコツ

顧客にとっての「お得感」を演出:
あくまで顧客が「良い買い物をした」と思えるような、自然な比較ができる設計が重要です。

絶妙なバランス感覚:
おとりと本命の価格差、価値差が鍵。おとりが魅力的すぎても、逆に全く魅力がなくても効果は薄れます。

シンプルに比較できる数で:
一般的に3つの選択肢が効果的とされます。多すぎると顧客は選べなくなります。

注意すべき点

露骨なおとりは不信の元:
あまりに不自然な「おとり」は顧客に見透かされ、ブランドイメージを損なう可能性があります。

本命との適切な差:
価格や価値の差が小さすぎても大きすぎても、おとりは機能しにくくなります。

倫理観を持つ:
顧客を欺くための手法ではなく、あくまで賢い選択を「手助けする」というスタンスを忘れないようにしましょう。

【応用編】関連知識と組み合わせて効果を高める

「おとり効果(デコイ効果)」は単独でも強力ですが、他の行動経済学の原理と組み合わせることで、さらに効果を高められます。


アンカリング効果: おとりの価格をアンカーとして利用し、本命商品のお得感を強調する。

プロスペクト理論: 「おとりを選んで損をしたくない」という損失回避の心理を刺激する。

フレーミング効果: 本命商品がより魅力的に見えるような言葉や情報の提示方法を工夫する。

これらの知識と組み合わせることで、より多角的で効果的なマーケティングや営業戦略を構築できます。


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