初めて開業するにあたり、個人事業主として始めるか法人(会社)を設立するかという 開業形態の選び方 は非常に重要です。
どちらを選ぶかによって、事業運営の自由度や税金の負担、社会保険の扱い、対外的な信用力などが大きく変わります。それぞれにメリット・デメリットがあり、最初の選択を誤ると「こんなはずじゃなかった…」と後から後悔してしまう可能性もあります。
本記事では、個人事業主と法人の違いを以下のポイントで比較し、初めて起業する方でも分かりやすいように解説します。経営の自由度、税金、開業コスト、社会保険、手続きの難易度、信用度といった観点から両者を比べ、さらに事業内容や規模に応じた適切な選択基準についても紹介します。この記事を参考に、ご自身のビジネスに合った開業形態を選び、後悔のないスタートを切りましょう。
経営の自由度の違い

まず、経営の裁量や意思決定の自由度についての違いです。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、事業主本人がすべての権限を持つため、意思決定が非常にスピーディーです。自分の判断ひとつで事業内容を変更したり、経費の使い道を決めたりできます。例えば、新しいサービスを思いついたらすぐに実行に移すことも可能で、ビジネスの方向転換も柔軟に行えます。
法律上も特に取締役会や株主総会といった手続きを経る必要がなく、経営の自由度は高いと言えます。
法人(会社)の場合
法人(会社)の場合は組織としてのルールや制約があります。たとえ社長が一人の小さな会社でも、定款(会社の基本ルール)で定めた範囲内で事業を行う必要があり、大きく事業目的を変更する際には定款変更の手続きが必要です。また、取締役会や株主総会での決議(※小規模なら書面で済ませることもできます)が法律上求められる事項もあり、意思決定に時間や手間がかかるケースもあります。
複数の共同創業者や出資者がいる場合は、重要な方針を決める際に意見を調整するプロセスも必要でしょう。つまり、法人化すると一定の制約が生じ、個人事業主に比べると経営判断の自由度は下がる傾向にあります。ただし、明文化されたルールに沿って運営することで、組織としての信頼性が高まるという側面もあります。
税金の違い

税金の仕組みも個人事業主と法人で大きく異なります。個人事業主の所得に対しては所得税が課され、法人の利益に対しては法人税が課されます。
所得税 vs 法人税
まず個人事業主の場合、事業で得た利益は事業主個人の所得となり、超過累進課税の所得税率が適用されます。所得税は所得が増えるほど税率が高くなる仕組みで、所得額によって5%から最大45%まで段階的に上がり(別途住民税が一律10%課税)、高所得になるほど税負担が重くなります。例えば、課税所得が900万円を超えるあたりから税率が一気に33%(900万円超〜1,800万円以下)→40%(1,800万円超〜4,000万円以下)と上がり、住民税も含めると50%を超えるケースもあります。
つまり、個人事業主は利益が大きくなると税率が高くなるため、儲かれば儲かるほど税金面で不利になる側面があります。
一方、法人の税率は定率課税でほぼ一律です。一般的な中小企業であれば、年間の所得800万円までは法人税(国税部分)が約15%、800万円超部分は23.2%といった具合で、法人住民税や事業税を含めた実効税率はおおむね20~30%程度に収まります。大きな利益が出ても税率が急激に上がることはないため、利益規模によっては法人の方が税負担を抑えやすいと言えます。
特に、年間の事業利益が数百万円から数千万円規模に達すると、法人税率の方が所得税率より低くなりやすく、節税効果が期待できます。
節税のしやすさ
また、節税のしやすさにも違いがあります。個人事業主の場合、自分自身の生活費や人件費を経費にすることはできません(事業所得=売上-経費で計算され、自分の取り分は「事業主の利益」となるため)。一方で法人では、オーナーである自分に支払う役員報酬を会社の経費として計上できます。
例えば、会社の利益を抑えるために自分の給与(役員報酬)として支給すれば、その分法人税の課税所得を減らすことが可能です。さらに、役員報酬以外にも役員賞与(一定の制約あり)や退職金を支給するといった方法で、法人は経費にできる範囲が広く、結果として節税につながる余地があります。家族を役員や従業員にして給与を支払うことで所得を分散させる、といった節税策も法人の方が取り組みやすいです(個人事業主にも事業専従者控除などありますが、適用要件が限られます)。
加えて、赤字の繰越控除期間にも差があります。個人事業主(青色申告)は赤字を最長3年間繰り越せますが、法人は最長10年間の繰越控除が可能です。長期的に見て業績変動がある場合は、法人の方が税務上有利に働く場面もあります。
ただし、法人には最低でもかかる税金も存在します。後述するように、法人はたとえ利益がゼロでも毎年一定額の法人住民税(均等割)を支払う必要がありますし、決算申告の手間もかかります。利益が少ないうちは法人化の節税メリットがそれほど大きくない場合もあります。総じて、利益が小さいうちは個人事業主の方がシンプルで有利で、利益が大きくなってきたら法人化した方が税負担を抑えやすいと言えるでしょう。
開業コストの違い

事業を始める際の費用面でも、個人事業主と法人では大きな差があります。
初期費用について
まず、初期費用(設立時のコスト)について、個人事業主はほとんどコストがかかりません。基本的には税務署に「開業届」を提出するだけで開業でき、手続き自体に費用は不要です。印紙代や登録料といったものもなく、極端に言えば0円で事業をスタートできます(事業用の印鑑や名刺作成などの細かい準備費用は多少かかりますが、法人設立に比べれば微々たるものです)。
法人を設立する場合、初期費用として数万円~十数万円程度の実費が発生します。例えば株式会社を設立するなら、公証人役場での定款認証に約5万円、法務局への登録免許税として最低15万円(資本金額によって変動)など、合計で約20万円前後が必要です。合同会社(LLC)であれば定款認証が不要なので約10万円程度と比較的安く設立できますが、それでも個人事業に比べればまとまった支出になります。
また、法人設立時には資本金の払い込みも必要です。法律上は資本金1円から会社設立可能ですが、資本金は対外的な信用にも関わるため、実際には数十万円~数百万円程度を用意してスタートするケースが多いです(この資本金自体は事業の運転資金として使えるお金ですが、準備資金としては見ておく必要があります)。
ランニングコストについて
次に、ランニングコスト(開業後の維持費)の違いです。
個人事業主の場合、開業後の維持費で特別に必要なものはほぼありません。売上に応じた税金(所得税・住民税や消費税など)や必要経費以外に、事業体であるがゆえに毎年必ず発生する固定費といったものは特にないと言えます。強いて言えば、会計ソフトの利用料や税理士への依頼費用などは任意でかかる程度でしょう。
法人の場合、事業を続ける限り毎年発生する固定的なコストがあります。その一つが前述の法人住民税の均等割です。これは法人の規模に応じて定額で課される税金で、たとえ赤字でも最低限支払わねばなりません。金額は自治体にもよりますが、中小規模の会社なら年間約7万円(東京都23区の場合)程度が最低ラインです。
また、法人は毎期決算を行い法人税の申告をする必要がありますが、その決算申告や税務処理にかかる手間・費用もばかになりません。自社で会計処理を完璧にこなせればよいですが、初めて法人を運営する場合は税理士に顧問を依頼することも多く、その場合月額数万円(年間で数十万円)の顧問料がかかることもあります。さらに、法人では事業用の銀行口座開設や各種手続きのために印鑑証明書を発行するなど、細かな手数料も積み重なります。
このように、法人は運営するだけで一定のコストがかかる点に注意が必要です。開業当初から十分な利益を見込めない場合、法人にすると維持費が負担となり、かえって経営を圧迫するリスクもあります。逆に言えば、小規模なうちは個人事業主として低コストで始め、利益が軌道に乗ってから法人化するのが合理的なパターンと言えるでしょう。
社会保険の違い

事業形態の違いは社会保険の扱いにも影響します。ここで言う社会保険とは、主に健康保険と厚生年金保険(+介護保険)を指します。
国民健康保険 vs 社会保険
個人事業主の場合、自営業者として国民健康保険と国民年金に加入するのが基本です。自分自身や家族従業員については、各自が国民健康保険に加入し、年金は国民年金(第1号被保険者)を納めます。また、従業員を雇用する場合でも、常時5人未満の従業員規模であれば社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務は生じません。
(業種によって例外もありますが、一般的な業種では従業員5人未満の個人事業は社会保険強制加入の対象外となります)
そのため小規模な個人事業では、事業主・従業員ともに国民健康保険・国民年金で済ませるケースも珍しくありません。国民年金の保険料は一律(月額約1万6千円)であるため収入が低い場合でも負担が一定ですし、健康保険料も前年所得に応じて計算されますが、厚生年金に比べて制度上の事業主負担は発生しない点でシンプルです。
法人(会社)の場合、たとえ従業員が社長一人だけであっても社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務となります(役員報酬を受け取らない場合など一部例外を除き、基本的には加入必須です)。会社を設立したら速やかに年金事務所で健康保険・厚生年金の新規適用手続きを行い、社長自身も会社の「従業員」として加入することになります。
社会保険に加入すると、会社は従業員の保険料の半分を負担しなければなりません。保険料率にもよりますが、会社負担分だけで給与の約15%前後を支払うイメージです(残り半分は従業員個人が給与天引きで負担)。例えば月給30万円の従業員(社長本人でも)がいると、その人の健康保険・年金のために会社が毎月約4万5千円程度を負担する計算になります。この負担は人件費とは別に会社のコストとなるため、法人化すると人件費以外に社会保険料負担が大きく増える点に注意しましょう。
しかし、社会保険に加入することで得られるメリットもあります。健康保険では、病気やケガで仕事を休んだ際に一定条件下で給与の一部を補償してくれる傷病手当金の制度がありますが、国民健康保険にはこうした給付がありません。また、厚生年金に加入していると将来受け取れる年金額が国民年金のみの場合より増える可能性が高く、老後の保障が手厚くなります。つまり、法人はコストはかかるものの、その分従業員(自分自身含む)に手厚い保障を提供できるわけです。
さらに、人材採用の面でも違いがあります。優秀な人材ほど安定した待遇を求める傾向がありますが、法人であれば「社会保険完備」など福利厚生面を整えることができ、人材募集時にアピールできます。小規模な個人事業主だと社会保険がなく将来の安心感に欠けるため、正社員募集をかけても応募が集まりにくい場合があります。このように、社会保険制度や福利厚生面でも法人の方が有利ですが、その分コスト負担は重いというトレードオフがあります。
手続きの難易度

開業に際しての手続きの手軽さ・難しさも、個人事業主と法人で大きく異なります。
個人事業主として事業を始める場合、手続きは非常に簡単です。必要なのは税務署に対する「個人事業の開業届」の提出程度で、用紙1枚に氏名や事業の内容などを記入し提出すれば完了します(提出期限は開業から1ヶ月以内が望ましいとされています)。手続きは無料で、印鑑とマイナンバーなどがあれば自分一人でその日のうちに完了できます。なお、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出すれば、以後の確定申告で青色申告特別控除など税制上のメリットを受けられるため、これも可能であれば出しておくと良いでしょう。いずれにせよ、書類数も少なく、専門知識がなくても始められるお手軽さが個人事業の魅力です。
法人を設立する場合、手続きのハードルはぐっと上がります。まず会社の基本事項(商号=会社名、事業目的、本店所在地、役員構成、資本金額など)を決めた上で定款を作成し、公証役場で定款認証を受ける必要があります(※合同会社は認証不要)。その後、法務局に会社設立の登記申請を行いますが、この際に提出すべき書類は約10種類にも及びます。例えば登記申請書、定款(認証済み)、役員の就任承諾書や印鑑証明書、払込証明書、印鑑届出書…といった具合に、準備する書類が多岐にわたります。初めての人には用語も手順も難解で、ミスなく進めるのは簡単ではありません。そのため、多くの人が司法書士や行政書士といった専門家、あるいは最近普及しているオンラインの会社設立サービスなどを利用して手続きを行っています。
法人設立手続きを完了させるには、スムーズに進んでも数日~数週間程度の時間がかかります。設立登記が完了した後も、税務署への法人設立届出書の提出や、都道府県・市区町村への通知、社会保険・労働保険の加入手続きなど、やるべきことが色々と控えています。これらを自力で一つ一つ対応するのはなかなか大変です。まとめると、手続き難易度は個人事業主の方が圧倒的に低く、法人設立は準備すべき書類も手順も多く難易度が高いと言えるでしょう。
信用度の違い
対外的な信用度・信頼感も、事業形態によって変わってきます。
信用度
一般に、社会的な信用度は法人>個人事業主と見なされることが多いです。会社であれば法務局に登記された公式な組織ですので、「きちんとした事業を営んでいる」という安心感を相手に与えやすくなります。
取引面では、法人の方が有利になる場面がしばしばあります。例えば大企業や官公庁、自治体との取引は法人でなければ門前払いになってしまうケースがあります。また企業間取引(BtoB)でも、「契約書を交わす相手が個人事業主だと不安だ」という理由で敬遠される場合があります。実際、「個人事業主とは取引しない」という内規を持つ企業も存在します。そのため、事業内容によっては法人化しておくことで得られるビジネスチャンスが広がる可能性があります。
融資の受けやすさ
融資や資金調達の面でも、信用度の差は影響します。銀行など金融機関からの融資は個人事業主でも受けられますが、融資可能額や条件の面で法人の方が有利になりやすいと言われます。法人は決算書類など財務状況を開示する義務があり、第三者から見ても経営実態が把握しやすいため、銀行も融資判断をしやすくなるからです。特に創業融資や事業資金融資では、「法人であること」が信用力の一つとみなされ、結果的に個人事業主より多くの資金を借りやすい傾向があります(ただし、小規模な法人では代表者個人の連帯保証を求められることが多く、結局のところ責任は個人に及ぶ点には注意が必要です)。
また、日常の信用面でも違いがあります。例えば事業用のクレジットカード一つ取っても、法人名義のカードは高い利用限度額や決済サイトでの法人向けプラン利用などメリットが多い反面、個人事業主だと利用限度が低かったり審査が厳しかったりすることがあります。社員採用の場面でも、前述のとおり法人の方が「安定していそう」「福利厚生が整っていそう」と見られるため求人応募が集まりやすいです。個人事業主だと会社員扱いにはならないため雇用される側に不安を与える場合があります。
もっとも、法人だから必ず信用されるというわけではありません。設立したばかりの中小零細企業では実績が乏しいため、結局は代表者個人の信用力(過去の取引実績や人脈、スキルなど)が物を言う場面も多いです。しかし少なくとも名刺に「代表取締役社長」と書かれた肩書きがあるだけで相手の見る目が変わる、といったことは現実によくあります。総じて、社会的な信用度を高めたい場合は法人化が効果的と言えるでしょう。
どちらを選ぶべきか?(業種・事業規模による選択基準)

ここまで見てきたように、個人事業主と法人それぞれに利点と欠点があります。それでは実際、自分が起業する際にはどちらの形態を選ぶべきなのでしょうか?結論としては、事業の内容(業種)や規模・将来性に応じて適した選択が異なります。以下に、開業形態を選ぶ際の目安となるケース別のポイントをまとめました。
個人事業主として始めるのがおすすめなケース
- 開業コストを抑えたい場合:
手元資金に余裕がなく、できるだけ低コストですぐビジネスを始めたいとき。個人事業主なら設立費用がほぼゼロなので資金面のハードルが低いです。 - スモールスタートで様子を見たい場合:
事業規模を小さく始め、まずは市場の反応を試したいとき。将来の不確実性が高いビジネスは、まず個人事業で試して軌道に乗ったら後で法人化する方がリスクが低いです。 - 利益規模がまだ小さい場合:
当面の年間利益がそれほど大きく見込めない(ざっくり数百万円程度まで)場合。利益が小さいうちは法人化しても税金面のメリットがあまりなく、むしろ維持コスト負担が重く感じられることもあります。 - 事務処理や経理を簡単に済ませたい場合:
一人で経理・確定申告まで対応したい、煩雑な手続きを極力避けたいといったとき。個人事業主なら会計処理も比較的シンプルで、決算公告や役所への各種届出も少なくて済みます。
法人(会社設立)から始めるのがおすすめなケース
- 取引先や顧客の信頼が必要な業種の場合:
相手が大企業や官公庁など、取引に法人格が求められる可能性がある事業を始めるとき。BtoBビジネスや下請け業務などでは、最初から法人でないと門戸が開かれない場合があります。 - 将来的に利益規模が大きくなりそうな場合:
早期から売上・利益が大きく見込まれ、将来的に年間数百万円を超える利益が期待できるとき。そうした場合は法人税のメリットを享受しやすく、結果的に手元に残る利益を最大化しやすいです。目安として、年間利益が500万〜800万円を超えてくるようなら法人の方が有利とされています。 - 多額の資金調達を検討している場合:
事業拡大のために銀行融資を受けたい、あるいはベンチャー投資やクラウドファンディングなどで大きな資金を集めたいと考えているとき。法人の方が信用力が高く、資金調達の選択肢や上限額が広がります。投資を受けるには株式発行のできる会社形態が必須です。 - 共同創業者がいる・出資者を募る場合:
複数人で起業し、それぞれが出資して事業を始めるようなケース。会社組織にして株式割合を決めておけば、権利関係や責任分担が明確になります(後々のトラブル防止にもなります)。 - 従業員を雇用して事業拡大したい場合:
将来的に人をどんどん雇って事業規模を拡大していく計画があるとき。法人であれば社会保険完備や企業としての知名度向上によって良い人材を確保しやすく、組織的に大きくしていく土台を整えられます。 - 事業のリスクを限定し個人資産を守りたい場合:
事業上の借入や負債、賠償リスクなどが大きく見込まれるとき。法人は有限責任のため、万一事業が失敗しても原則として出資した資本金の範囲で責任が限定されます(※金融機関借入では保証人を求められるケースが多いですが、取引債務などは会社の責任に留まります)。個人事業主だと事業の失敗がそのまま自分個人の破産に直結するリスクがあるため、大きなリスクを取るビジネスには法人の方が安心です。
以上が選択の参考となるケース例です。ただし、事業の状況は千差万別ですので、上記にピッタリ当てはまらなくても総合的に判断することが大切です。
まとめ(個人事業主・法人の選択で後悔しないためのポイント)
個人事業主と法人のどちらを選ぶかは、起業における最初の重要な意思決定です。
ここまで述べてきたように、それぞれにメリット・デメリットが存在し、優劣は一概には決められません。大切なのは、自分の事業内容や規模(将来の成長見込み)、そして事業に伴うリスクを踏まえて総合的に判断することです。
もし決めかねる場合、現実的なアプローチとしては「まず個人事業主として始め、必要に応じて法人化する」というステップを踏む方が多いです。実際、創業当初は個人事業でスタートし、売上や利益の拡大に合わせてタイミングを見て法人成り(法人へ移行)するケースは珍しくありません。個人事業から法人への移行は手続きこそ必要ですが、十分な利益が出るようになってから法人化すれば、設立コストや税負担も事業の余力でまかなえるため安心です。
逆に、事業計画上初めから法人にすべき場合もあります。例えば、開始直後から多額の設備投資や資金調達が必要なビジネス、大企業との取引が確定しているようなケースでは、最初から法人形態でスタートした方がスムーズです。また、将来にわたり事業を大きく展開していくビジョンが明確にあるなら、早めに法人化を選択し会社の信用力を育てていくのも一つの戦略です。
選択にあたっては、専門家への相談も有効です。
税理士や中小企業診断士などに事前に相談すれば、節税面や補助金の活用など、自分では気付かない視点からアドバイスをもらえることがあります。特に法人化のタイミングによって消費税や法人税の扱いが有利・不利に変わることもあるため、プロの意見を聞いておくと後悔のない選択ができるでしょう。
最後に重要なポイントをまとめると、「現状では個人事業主として身軽に始め、成長したら法人化する」か、「事業の性質上最初から法人にすべきか」を見極めることです。この記事で紹介した違いや基準を参考に、自身の状況に合った道を選んでください。適切な開業形態を選ぶことで、余計なコストやトラブルを避け、ビジネスに集中して取り組むことができます。将来を見据えた賢い選択をして、ぜひ理想の事業を成功させましょう。
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