「地域名+歯医者」で検索すると、地図と一緒に何軒もの医院が並びます。その中に自院が入っていない、あるいは下のほうにしか出てこない——。歯科医院の集患をご相談いただく際、この話から始まることがよくあります。
先に結論をお伝えします。歯科は、地図施策が効きやすい業種のひとつです。ただし順位を上げることより先に、来院を決める直前の情報を揃えるほうが効きます。理由は、この業種の商圏の狭さと、患者さんの探し方の違いにあります。
MEOという言葉の意味についてはMEO(地図検索対策)の用語解説で整理していますので、必要に応じてご覧ください。
歯科は「距離」がとりわけ強く働く
Googleは、地図の掲載順位について次の3つで決まると説明しています。
> 関連性とは、検索語句とビジネス プロフィールが合致する度合いを指します>> 距離とは、検索しているユーザーから各ビジネス拠点までの距離を指します>> 知名度とは、ビジネスがどれだけ広く知られているかを指します
(出典:Google のローカル検索結果の掲載順位を改善する方法 – Google ビジネス プロフィール ヘルプ)
このうち歯科でとりわけ強く働くのが「距離」です。通院が複数回にわたる業種のため、患者さんは通いやすさを優先します。徒歩や自転車で行ける範囲、あるいは通勤経路の途中。そこから外れた医院は、順位が高くても選ばれにくくなります。
ここから導かれるのは、少し受け入れにくい前提かもしれません。自院から離れた場所で検索している人には、対策をしても届きにくいということです。逆に言えば、近くで検索している人の画面の中でどう見えるかに集中したほうが、労力が結果につながりやすくなります。
探し方は一つではない
もうひとつ、歯科に固有の事情があります。同じ「歯医者を探す」でも、状況によって見る場所がまったく違います。
急に痛くなった
検索は「地域名 歯医者 今日」「歯医者 日曜」といった形になります。いちばん知りたいのは、今日入れるか、今開いているかです。
定期検診に通いたい
検索は「地域名 歯医者」がよく使われます。いちばん知りたいのは、通いやすさや雰囲気、スタッフの様子です。
子どもを診てもらいたい
検索は「地域名 小児歯科」という形になります。いちばん知りたいのは、子どもへの対応や待合の様子です。
矯正や審美を検討
検索は「地域名 矯正歯科」が中心です。いちばん知りたいのは、相談の流れや通院回数の目安です。
転居してきた
検索は「地域名 歯医者 おすすめ」という形になります。いちばん知りたいのは、他の人がどう評価しているかです。
このうち「急に痛くなった」というケースは、時間との勝負になります。痛みを抱えた人は、営業時間の表示と電話番号だけを見て次の行動を決めます。ここで当日の受付状況が分からない医院は、選択肢から外れます。地図の順位が3位でも、1位の医院の営業時間が古いままなら、3位が選ばれることは普通に起こります。
一方、それ以外の状況では時間に余裕があります。プロフィールを開いた後、ホームページに移動して詳しく読み込みます。この層に対しては、地図側だけを整えても足りません。
順位より先に整えたい項目
以上を踏まえて、優先度をつけると次のようになります。
診療時間・休診日・年末年始などの臨時対応
優先度は「高」です。当日来院の判断が、ここだけで決まるためです。
診療科目のカテゴリ設定
これも優先度「高」の項目です。「小児歯科」「矯正歯科」などの検索との合致に関わります。
院内・外観・駐車場の写真
優先度は「中」です。初診の不安を減らす材料になります。
口コミへの返信
こちらも優先度「中」です。後から読む人に、向き合う姿勢が伝わります。
投稿機能での情報発信
優先度は「低」で構いません。上の項目が整ってから着手しても遅くないためです。
写真については、院内の設備よりも入口までの道のりが分かる写真を優先することをおすすめしています。歯科医院はビルの2階や3階に入っていることが多く、初診の方が入口を見つけられずに引き返してしまう場面があるためです。建物の外観、エレベーターの場所、扉の様子。この3枚があるだけで、たどり着ける確率は変わると考えています。
なお、患者さんが自院を探すときに使っている地域名が、実際の来院圏と合っているかを確認しておくのも有効です。360株式会社では、公的統計から周辺の人口構成を確認できる商圏調査の無料ツールを公開しています。小児歯科に力を入れるのか、高齢の患者さんの通いやすさを重視するのかといった判断の材料になります。
口コミの扱いは、医療ならではの注意が必要
歯科でも口コミは選ばれる材料になります。ただし、集め方には二重の注意が必要です。
ひとつはGoogleのポリシーです。公式ヘルプには次のように書かれています。
> クチコミの投稿、クチコミの変更、否定的なクチコミの削除と引き換えに、無料または割引価格で商品やサービスを提供するといったインセンティブを顧客に提供することは、虚偽のエンゲージメントと見なされ、固く禁じられています
(出典:クチコミを管理する – Google ビジネス プロフィール ヘルプ)
もうひとつは、医療機関を対象とした広告の考え方です。医療広告に関するルールでは、患者さんの体験談を医療機関側の広告として用いることについて、通常の業種とは異なる扱いが定められています。自院のホームページやチラシに口コミを転載する場合は、この点の確認が欠かせません。判断に迷う内容は、管轄の保健所や顧問の専門家に確認したうえで進めるのが確実です。
私見として、歯科の場合は件数を増やす取り組みより、返信を丁寧に積み上げるほうが安全で、かつ効果的だと考えています。返信は医院側の言葉なので、内容を自分でコントロールできます。低評価に対しても、個別の診療内容には触れず、来院いただいたお礼と、直接ご連絡いただける窓口を示す形にとどめるのが基本です。
ホームページ側で受け止める
地図で見つけた人の多くは、その後ホームページを開きます。とくに矯正や小児歯科を検討している層は、地図の情報だけでは決めません。
このとき見られているのは、初診の流れ、待ち時間の目安、痛みへの配慮の方針、担当する歯科医師の情報といった項目です。地図側とホームページ側で診療時間が食い違っていると、そこで信頼が下がります。両方を同時に更新する運用にしておくことが、地味ですが効きます。
よくある失敗
- 診療時間の更新が漏れる:地図と院内掲示とホームページで内容が違うと、当日来院の判断ができません。
- カテゴリを「歯科医院」だけで済ませる:小児歯科や矯正歯科を掲げているのに設定に反映されていないと、その検索との結びつきが弱くなります。
- 順位チェックだけを毎月見る:距離の影響で、測る場所によって順位は変わります。順位単体では判断材料になりにくい指標です。
- 口コミを一気に集めようとする:短期間に不自然に増えると、集め方そのものが疑われる可能性があります。
- 写真が診療チェアだけ:初診の方が知りたいのは、入口・待合・スタッフの雰囲気のほうです。
まとめ:最初の一手は「今日の診療時間が正しいか」を確認する
歯科医院の地図施策で最初にやることを1つに絞るなら、Googleビジネスプロフィールに表示されている診療時間と休診日を、今の実態と突き合わせることです。
祝日の扱い、昼休みの有無、年末年始や学会での臨時休診。ここが正確であれば、痛みで探している人を取りこぼしません。順位を動かす取り組みは、そのあとで構いません。正確な情報は、どの施策よりも先に効きます。
日々の更新まで手が回らない場合の進め方については、MEO対策のサービスページに対応範囲を記載しています。なお、Googleの仕様や公式ヘルプ、医療広告に関するルールは改定されることがあるため、運用の判断前には最新の情報をご確認ください。


