【本】VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学|VRは経験を共有できるメディア!

VRは脳をどう変えるか?

こんにちは。360株式会社の伊藤です。(@naruhodo_iine

今回は、VRに興味のある全ての方におすすめできる本
「VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学」をご紹介します!

著者は、スタンフォード大学の心理学教授ジェレミー・ベイレイソン(Jeremy Bailenson)。
20年以上もVRを研究してきたVRの権威です。

この本には、多くのVR活用事例や、VRのメリットが紹介されているのですが、
VRが脳に悪影響を及ぼすリスクについても正直に書かれているのがポイント。
さらに、今後どのようなVRコンテンツを作るべきか示唆してくれているので、
VRを活用したいと考えている方や、VRに興味がある方には特におすすめの本です。

全部で10章ありますが、Facebook創業者のザッカーバーグにVR研究を見せるところから始まります。
あのザッカーバーグがVRを体験する描写だけでも、一読の価値ありです。

この本で、繰り返し出てくるのが「経験」です。
著者は「現実の経験」と「メディアを通した経験」のギャップが、
VR技術の発展により、ずっと小さくなるであろうことを予見しています。
そして、VRは経験を共有できるこれまでにないメディアであるため、
20年研究してもまだ、どう使うべきか分かっていないと述べています。

VRというのは、映画を3Dにしたり、テレビ映像を白黒からカラーにしたり、といった既存メディアのバージョンアップとは根本的に話が違う。
VRは過去に存在しなかったまったく新しいメディアであり、他のメディアにはない独自の特徴と心理的効果を持ち、我々が身の回りの現実世界や他人と関わる方法を完全に変えてしまうのである。

謙遜しつつも、本の中にはVRの活用事例がたくさん出てきます。

現存するプロのアメリカンフットボールチームの中で、
最古の歴史を持つNFLのアリゾナ・カーディナルス。
アメフトという極めて複雑なスポーツが、
VRトレーニングによって作戦や戦略をインストールする事例は、面白い!
狭い画面の枠内に切り取られた二次元映像よりも、
実際の練習場に近い経験ができるというのは納得です。

ウォルマートの従業員向けVRトレーニングも面白い事例です。
VRで体験することにより、トレーニングコストが桁違いに安くなるのです。
実際に商品と顧客がいる訓練用店舗を用意しなくて済みますし、
各店舗のトレーナーに任せるより、一貫性のある研修ができるからです。

このほか、VRジャーナリズムを模索するニューヨーク・タイムズの例や
フラットな教育機会を提供できるVR社会見学、
殺人事件を再現するVRドキュメンタリーなど、興味深い事例が盛りだくさんです。
私は、これまでゲーム業界にいたこともあり、
VRによるストーリーテリングについては、「なるほど!たしかに!」と大変勉強になりました。
脳がどのようにVRを捉えるかがとてもよく分かる本は、初めて読みました。
VRが脳に与えうる4つのリスクと、優れたVRコンテンツの3条件は必見です。

また、専門家や設計者が予測した将来像が正しかったことはめったにないとしつつ、
よくある質問「どのようなソフトがVRのキラーアプリになるのか?」への
著者の回答も参考になりました。
この回答は、ぜひ本でご覧ください!

「VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学」は、
VRに関わる全ての人に、おすすめできる本です!

(追記)著者のJeremy BailensonさんのTEDを見つけました!
こちらも面白いです!


目次

■序 章 なぜフェイスブックはVRに賭けたのか?
■第1章 一流はバーチャル空間で練習する
■第2章 その没入感は脳を変える
■第3章 人類は初めて新たな身体を手に入れる
■第4章 消費活動の中心は仮想世界へ
■第5章 二〇〇〇人のPTSD患者を救ったVRソフト
■第6章 医療の現場が注目する〝痛みからの解放〟
■第7章 アバターは人間関係をいかに変えるか?
■第8章 映画とゲームを融合した新世代のエンタテイメント
■第9章 バーチャル教室で子供は学ぶ
■第10章 優れたVRコンテンツの三条件