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歯科医院の定期検診の再来院を増やすWeb・LINE導線の作り方|リコール案内の受け皿設計

歯科医院の定期検診の再来院を増やすWeb・LINE導線の作り方|リコール案内の受け皿設計

「定期検診のご案内はきちんと出しているのですが、戻ってきてくださる患者様が思ったより少なくて」——歯科医院からのご相談で、このお話は本当によく出てきます。案内の枚数もタイミングも工夫しているのに、手応えが薄い。そういう状態です。

結論から申し上げます。案内が再来院につながらない原因は、案内の「回数が足りないこと」よりも、案内が届いた先に、その場で予約できる受け皿がないことにある場合が少なくありません。案内を増やす前に、案内から予約完了までの道のりをWeb側で短くする。これが、Webマーケティングの立場からお伝えしたい最初の論点です。

なお、院内での次回予約の取り方やスタッフの方の声かけ、診療内容そのものは各医院の専門領域であり、本記事では踏み込みません。ここではホームページとLINE公式アカウントの設計に絞ってお話しします。あわせて、治療や健康上の効果について何かを保証する趣旨の記事ではないことも、あらかじめお断りしておきます。

案内は「届いても、予約されない」ところで止まっている

定期検診の再来院は、ひとつの行動のように見えて、実際には段階に分かれています。案内が届く、思い出す、予約する、来院する。この4つです。

多くの医院で工夫が重ねられているのは、前半の「届く・思い出す」の部分です。ハガキの文面、送付のタイミング、電話でのご連絡。業界メディアで紹介される打ち手も、次回予約制や連絡手段の使い分けといった院内運用が中心になりがちです。

一方で、つまずきが起きやすいのは3段階目の「予約する」だと私たちは見ています。案内を受け取って「そろそろ行かないと」と思った患者様が、次に何をするかを考えてみます。予約手段が電話しかなければ、診療時間内に電話をかける必要があります。日中お仕事をされている方にとって、これは思っているより高いハードルです。

各種の意識調査では、歯科を定期的に受診しない理由として「時間がないから」が上位に挙がることが繰り返し報告されています。ここでいう「時間がない」は、通院そのものだけでなく、予約を取るという手続きの面倒さも含んだ感覚ではないかと考えています。

受け皿としてのLINE公式アカウントとWeb予約

案内の着地点を作る手段として、LINE公式アカウントとWeb予約フォームは相性がよい組み合わせです。仕様の面から整理します。

LINE公式アカウントには、トーク画面の下部に常に表示される「リッチメニュー」という機能があります。友だち追加をした患者様のトーク画面に、いつでも押せるボタンを置いておける、という点がここでの要点です。過去のメッセージを遡らなくても、思い立ったその瞬間に予約の入口へ進めます。メッセージ配信そのものよりも、この常設の入口のほうが再来院の導線として効いていると考えています。

Web予約フォームのほうは、診療時間外でも受け付けられることが最大の利点です。「思い出したとき」と「電話できるとき」がずれている患者様を、そのずれごと拾えます。

行動経済学の観点からも補足できます。ひとつはフレーミング効果です。同じ内容でも、伝え方によって受け取られ方は変わります。「定期検診のお知らせ」という抽象的な件名より、「前回のクリーニングから半年が経ちました」のように前回の来院を起点にしたほうが、用件が具体的に伝わります。

もうひとつは保有効果です。人は、すでに自分のものになったと感じるものを手放しにくい性質を持っています。予約枠が先に押さえられている状態は、これから枠を探す状態よりも、来院につながりやすいと考えられます。

通説との差:回数を増やすより、手間を減らす

ここからは、360株式会社がWeb側から関わってきた範囲での観察と、私見としての整理です。統計的な裏づけを持つ話ではない点はご了承ください。

私たちが見てきた範囲では、案内の頻度を上げた医院よりも、案内の着地点に予約手段を用意した医院のほうが、反応が安定していた印象があります。理由はおそらく単純で、頻度を上げる施策には「しつこい」と受け取られる副作用がある一方、受け皿を整える施策には副作用がほとんどないためです。

言い換えれば、案内の回数は増やすほど効くとは限りませんが、予約の手間は減らすほど素直に効きます。まず手をつけるなら後者からだと、私見として考えています。

もう一点、文面についてです。リマインドの文章を「定期検診の時期になりました」で止めてしまうと、患者様の側では何をどうすればよいかが具体的になりません。前回の来院時期に触れ、次に押すボタンをその場に置く。この2つが揃って初めて、案内は行動に変わります。

打ち手の整理(段階ごとの受け皿)

案内が届く

ハガキ・電話が中心という状態です。LINE公式アカウントを、案内経路に追加します。

思い出す

「そろそろ行かないと」で止まってしまう状態です。前回来院時期に触れた、具体的な文面にします。

予約する

電話のみ・診療時間内に限られるという状態です。リッチメニューに「予約」を常設し、Web予約へつなぎます。

来院する

予約後に忘れられてしまう状態です。前日のリマインドを自動で送ります。

ここに挙げたWeb側の受け皿は、いずれも院内の運用を変えずに着手できる範囲に絞っています。院内オペレーションの見直しと同時に進めようとすると負荷が大きくなるため、まずはWeb側だけで完結する部分から整えるほうが現実的です。

よくある失敗

  • 友だち追加の数を増やすこと自体が目的になる。追加された後に何も起きなければ、リストは増えても再来院は動きません。
  • 配信頻度を上げすぎてブロックされる。一度ブロックされると、その患者様への経路自体が失われます。
  • リッチメニューに項目を詰め込みすぎる。押してほしいボタンが埋もれます。
  • 予約ページがスマートフォンで操作しづらい。案内の導線を整えても、最後の画面で離脱します。
  • 効果や治療結果を断定する表現を使う。医療分野の情報発信では、表現の適切さそのものが信頼に関わります。

まとめ:最初の一手

あれこれ変える前に、ひとつだけ。LINE公式アカウントのリッチメニューに「予約」を一つ置き、Web予約ページへ直接つなぐ。案内の文面も送付タイミングも、その後で構いません。案内を受け取った患者様が、思い立った瞬間に予約まで進める状態を作ること。定期的にご来院いただける関係は、そこから積み上がっていくものだと考えています。

再来院を積み重ねる考え方についてはLTV(顧客生涯価値)の解説も、LINE公式アカウントの運用面については美容室のLINE公式でリピートを増やす方法もあわせてご参照ください。